為替リスクと為替予約
事例Ⅳ(財務・会計)外貨建取引の損益変動を抑える
要点
為替リスクは、外貨建ての売上、仕入、債権、債務について、決済時の為替相場により円換算額が変動するリスクです。事例Ⅳでは、輸出企業なら円高で円換算売上が減り、輸入企業なら円安で仕入負担が増えるなど、取引の向きと相場変動を対応させる必要があります。
為替予約は、将来の外貨受払いについてあらかじめ交換レートを固定する手段です。円貨額を確定できるため、資金計画や利益計画の安定に役立ちます。一方で、予約後に有利な相場へ動いた場合、その利益機会を得られない点には注意が必要です。ヘッジ対象となる外貨金額、決済時期、予約レート、予約コストの有無を設問条件から整理します。
答案では、為替予約を万能策として書くのではなく、与件企業の取引構造に合わせて助言します。外貨建仕入が継続的にあるのか、価格転嫁が難しいのか、円建て取引への変更余地があるのかによって、効果と留意点が変わります。計算結果は、予約ありと予約なしの円貨額や利益差を比較し、収益安定と機会損失を因果で示すと説得力が出ます。
試験で問われるポイント
- 為替影響は輸出入の別と円高、円安の方向を対応させて判断する。
- 為替予約は将来の円貨額を固定し、利益や資金繰りの変動を抑える。
- 有利な相場変動を享受できない点や予約コストを留意点として示す。
- 外貨建取引の金額、時期、価格転嫁の可否を与件から確認する。
確認問題
外貨建てで原材料を輸入している企業が、決済までの円安による仕入額増加を懸念している。為替予約に関する説明として最も適切なものはどれか。
正解: ア
アは輸入企業の円安リスクに対応する説明である。予約により支払円貨額を固定し、仕入額の変動を抑えられる。イは有利な相場変動を得にくい点を見落としている。ウは外貨建取引の換算リスクを否定している。エは為替リスクと需要リスクを混同している。
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